物の値段と価値とファッション業界の今後

先日母からの荷物の中にUNIQLO UのTシャツが入っていました。

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デイリー使いにちょうど良く、私は好んでよく着ています。

ファッション感度が高い人は着ないかもしれませんが、

私は、人と被っていてもあまり気にしませんし、

必要以上に気合いを入れることにも、

なんだか気後れしています。笑

色んな洋服を見るのは好きなんですがね。

(なんか矛盾していますが^^;)

UNIQLOティー、個人的に良い商品だと思っています。

ファーストリテイリングのような

中間マージンを一切取らないSPA

(企画・製造・物流・販売までを自社で一貫して行う形態)

というオペレーションを確立している会社は

国内でも数えるほどしかなく、

良質な生地を自社で作り、それを安い値段で大量に捌くには

こうしたスキームがないとまず無理です。

 

生地を1から作るのは物凄くコストがかかりますし、

それをヘッジするには、

上代設定を高めにしてコストを上乗せする、

もしくは、生産枚数で割返す、

自分たちの粗利を削るかのいずれかになると思います。

プレーンなベーシックTシャツに

素材から注力することは可能だけれど、

素材にこだわった上で

UNIQLOほどの低価格での販売は難しいのが現状ではないかと思います。

SPAな上に、販路もグローバル展開ということは、

十分すぎるくらいの生産枚数を確保することが可能ですし、

ベーシックなものほどよく売れます。

その他多くのファッションブランドにとっては

飯の種とも言えるベーシックアイテムを

市場で独占されるとかなり売り上げにも影響しますし、

デザイン性のあるアイテムを企画する体力もなくなってしまいますが…。

 

私自身がものづくりに携わっていた頃、

OEM(取引先ブランドの商品を企画・生産する)時代は、

1年前からじっくり企画を進めるものもあれば、

トレンドアイテムをクイックに店頭に並べるためには、

1から生地を作る余裕なんてなく、

リードタイム45日という怒涛のようなスケジュールで

ランニング生地(国内の生地屋、または中国・韓国市場で

流通している生地)を調達し、生産。

ターゲット層に手の届きやすい価格で売る。

もしくは、ハイブランドのものづくりは、

国内でこだわった生地を1年前から作り、

少量を高額で捌くかに分かれていた感じです。

いずれも、安さを追求すれば、生地はそれなりになる、

素材にこだわればその分高くなる。

世の中的に消費者が求めているのは

クオリティーも良くて手頃な値段の服。

 

購入する側からすると、

どの世代も、同じデザイン、同じ色、マス受け・・となると

ファッションが好きな人には、

面白みがないと感じてしまうかもしれませんね。

作り手側になると"ベーシックでエイジレス"という

コンセプトの軸をずらさず、

どの年代にもフィットするように、

かつ洗練さをあわせもったデザインをするのって

シンプルなものほどかなり難しいと感じます。

Uティーシャツ、ネックの開き具合や

袖幅のボリューム感、全体のシルエットなど、

とても工夫されていると思いますし

(そりゃクリストフ・ルメール氏だもの^^;)

「Tシャツ1枚にいくらかけるのが妥当か?」と考えると

素材のクオリティーと価格のバランス、

相場感からいって、自分にはこれで十分だな〜と感じます。

多分、UNIQLOに買いに来るお客さんは、

デザインものを求めて来る人より、

コストパフォーマンスが良く、日常使いがきくものを探している人、

コーディネートの見せ方が上手い人などが多い印象ですし、

少し凝ったものなら他で買うでしょう。

 

今後も、ファーストリテイリング良品計画のような

SPA型の低価格ブランドと、

希少性のあるものやハイブランドの二極化が進み、

その間にあるブランドは益々淘汰されていくのかな…なんて感じます。

単なる隠居者の戯言です。すみません。

 

作り手にいたときも、

日増しに段ボールに山積みにされていくサンプルや生地を見て

大量の在庫問題は至る所でひしひしと感じていて、

こんな状況いつまで続くんだろうと思っていました。

あまり生産枚数が多くない規模のブランドなら、

展示会をバイヤー、スタイリスト等だけではなく、

一般の人も入れるようにしてはダメなのかな?

なんて個人的に思ったりします。^^;

オーダーしたら少し安く買えるとかで。

ある程度反応の良いアイテムも分かるし、

余計な生地を作らなくて済むし

(だいたい1反ごとに20m前後の編み立てが必要)

裁断枚数の目安がついた方が生地の無駄を省けるし、

原価割れしても売れなくて大量の在庫を抱えるくらいなら、

効率的にものを作った方がサステナブルというのにも

繋がる気がするのですが…。

でも、もうそうなったら原点回帰で、

プレタポルテ(既製服)からオートクチュール(オーダーメイド)の

時代到来だな…(笑)なんて思うのでした。